明けましておめでとうございます。サンノゼピアノ教室のいでありです。
さて、クリスマス休みは家でのんびり本を読んでいました。どこへも行かずに引きこもる。
年末、サンフランシスコの紀伊國屋さんで買ったのはこちら。
武者小路実篤と、
こちらはサンフランシスコで見たけど買わずに、結局
サンノゼの紀伊國屋さんで買ったもの。⇩このタイトル、すごい。フォントもタイトルに似合ってすごい。
武者小路実篤は、やはり読後感が爽やか。「友情」がまた読みたくなって、注文しました。
昔、大学の講義で「文学批評」という少人数クラスがあったのです。
そこでは15人ほどの学生が順番で1冊の本を解説、レジュメを作って授業するというクラスでした。授業しない学生は毎週、他人のおすすめの本が読めるので楽しいクラスでした。
ある日、誰かが「友情」を解説、先生も武者小路実篤の生涯や文、人となりをさらっと解説しました。他に何かある?言いたいことは?と先生が聞くと一人の聴講生が挙手。
彼女は当時ご高齢の女性でした。一度だけ食堂でお話したことがあって、
明治学院の近くにお住まいで、文学の授業だけを聴講をしているというIさんという方。日本文学の授業でもお見かけしていた、真面目でおしゃれな方でした。
先生に指名された彼女がちょっと照れたように言います。「わたくしね、子どもにころに武者小路先生の隣に住んでいたんですよ」と。
先生も学生もびっくり。そこから彼女の語る隣人としての作家の人物像を聞くことができたのでした。Iさんは武者小路実篤を「むしゃこうじ先生」と呼んでいました。
まだ幼かったIさんが遊びに行ってお菓子をもらったこと。野菜の絵を貰ったと言ったか見たと言ったのか今は思い出せません。他にも夏の思い出話をなさったと思います。Iさんと作家との思い出話を共有するように、学生がみんなシーンと静かになって、情景を思い出しながら聴いていた気がします。
それを見た先生が「こりゃ僕が何言っても、今日はもうダメだぁー。」とお手上げのポーズをして、みんなで笑いました。
久しぶりに読んで、爽やかな読後感と可笑しさを味わいました。例え下世話な話題になっても文の品がいい。そして何より面白い。
読んでから「足るを知る」という言葉が頭に浮かびました。